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霧の海(カスミノウミ)

天蓋諸島と根の国の間に広がる境界層の霧の海

天蓋諸島と根の国のちょうど中間に位置する、分厚い霧が永遠に漂う空間。エーテル石の浮力と菌糸ネットワークが干渉し合い、物理法則が微妙に歪んでいる場所だ。

霧の中では方位が定まらず、エーテル通信球の共鳴も乱れる。古の文献には「境界の幕」と記されており、大落下以前は存在しなかったという説が有力だ。かつてひとつだった世界が引き裂かれた際、その傷跡として霧が生まれたのだと根の国の長老たちは語る。

霧の商会はこの霧を隠れ蓑として密輸ルートに活用しており、天蓋議会も根の国連合も手が届かない事実上の無法地帯となっている。霧の深部には大落下以前の天蓋都市の残骸が浮遊しているといわれるが、探索に成功した者は極めて少ない。

シモベたちはこの霧を本能的に恐れる。霧の端に近づくだけで群れを離れ、奇異な旋回行動を示す。彼らが感知しているものが何なのか、いまだ解明されていない。

霧の海の物理的な厚みは場所と季節によって変動する。最も薄い場所では視界が数十メートル開け、天蓋諸島の島影と根の国の地表が同時に見える「晴れ間」が生じることがある。この晴れ間を通じた視覚的接触が、かつて両文明が互いの存在を確認した最初の瞬間だったと伝えられている。

霧の内部で発見される「浮遊水」という現象がある。霧の粒子が通常の水滴よりも大きく成長し、エーテル粒子を取り込んで重力に逆らって漂い続ける状態だ。この浮遊水に触れた者は方向感覚を完全に失うことが知られており、霧の海で遭難した者のほぼ全員が浮遊水地帯に迷い込んだとされる。霧渡りの案内人は浮遊水地帯を「溺れる空」と呼び、近づかない経路を本能的に記憶している。

霧の海の底部——根の国の地表付近——では霧が薄くなり、黒曜エーテル鉱を含む特殊な地層が露出している。この地層の採掘が霧の商会の主要収益源の一つとなっている。

霧の海は季節によって性質を変える。暖かい季節には霧が薄まり視界が開け、シモベの活動が活発になる。寒い季節には霧が凝縮し、霧魚の大型個体が浮遊廃墟群の近くに集まる。この季節性が、霧の商会の密輸スケジュールを決定する最大の要因となっている。

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