深層からの声

視点キャラクター: 地眠 ツチ

ツチが菌糸を通じて千年前の大落下の記憶を受信する。過去と現在が交錯する幻視体験。

深層からの声

菌糸に触れると、いつもは温かい。大地の記憶は体温のような安心感で私を包む。

でも今日は違った。冷たい。氷のような冷たさではなく、もっと根源的な——存在の温度が下がるような感覚。


接続が深まるにつれ、深淵都の石の床を踏む足の感覚が薄れていった。菌糸は音を媒介しない。光を媒介しない。感情と記憶の波形だけが通路になる。千年前の誰かの恐怖が、私の喉に引っかかる異物として蘇る。冷たさが指先から肩まで昇ってくる。深淵都の空気は常に湿っていて、菌糸の香りが漂っている——腐葉土と苔の中間のような、甘苦い気配。今はその香りが変わっていた。焦げた岩の臭い。千年前の火の記憶が、嗅覚まで侵食してきた。接続を切ろうとしたが、できなかった。引き戻される感覚。菌糸が私を手放さなかった。千年前の記憶は、受信者を選ばない。ただ流れ込んでくる。

視界が白く染まる。いや、白ではない。落下する光だ。空から岩が降ってくる。巨大な島が、煙を引きながら、大地に向かって落ちてくる。

「——協力せねばならぬ。天と地は一つであった。再び一つにならねば、共に滅ぶ」

声が聴こえた。千年前の誰かの声。菌糸に刻まれた残響。感情の波形が、恐怖と決意の混合物として、私の神経を駆け抜ける。


現実に戻るとき、菌糸接続は徐々に溶けていくものだ。いつもはそうだ。だが今日は違った。ぷつりと切れた。神経が焼き切れるような感覚で、私は深淵都の観測室の床に座り込んでいた。手足の感覚がなく、冷たい石床が遠くに感じられる。菌糸の香りが正常に戻っていた——腐葉土と苔の、いつもの気配。記録石に残響の断片を刻もうとしたが、指が震えて文字にならなかった。深淵都の観測室はいつも静かだ。だが今日の静寂は違った。重い。まるで大地全体が息をひそめているような重さだった。私は床に手をついたまま、しばらく動けなかった。千年前の恐怖と決意が、まだ体の中に残っていた。

千年前、彼らは協力した。天蓋の民と根の民が手を取り合い、大落下を——完全には防げなかったが、被害を最小限に抑えた。その方法の詳細は残響の中に断片的にしか残っていない。

だが一つ確かなことがある。エーテル石と大地の記憶。浮力と引力。二つの力を同時に制御した者たちがいた。

目を開けると、深淵都の天井から落ちる水滴が、上向きに昇っていた。逆さ雨。予兆の第二段階。

ハネに連絡を取らなければならない。根の国の地脈語者一人では、菌糸の片面しか読めない。天蓋諸島のエーテルデータが必要だ。

時間がない。

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