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根の国(ネノクニ)

光の届かない大地に広がる地下文明。巨大な菌糸ネットワーク「大地の記憶」を通じて情報と生命力を共有する。

根の国

根の国は、天蓋諸島が空へ昇った後に残された大地の文明である。太陽光は天蓋諸島の影に遮られ、地上には薄暮のような光しか届かない。

人々は地下に広がる巨大な洞窟系に都市を築き、菌糸ネットワーク「大地の記憶」を通じて通信・治癒・農業を行う。菌糸は生物の記憶や感情を一時的に伝達する能力を持ち、根の国の人々はこれを「地脈語」と呼ぶ。

光がないため、根の国の建築は生物発光する苔や菌類を照明として利用する。街は青白い光に包まれ、天蓋諸島の住民からは「幽冥の国」と呼ばれるが、根の国の民は自分たちの暮らしを「静謐にして温かい」と誇る。

根の国の七つの大洞窟都市——深淵都、苔光都、菌房都、石脈都、地泉都、暗渠都、根底都——はそれぞれ数万から数十万の人口を擁し、大地の記憶を介してゆるやかに連結された連合体を形成している。最も人口が多い深淵都では、洞窟の天井から何十メートルもの高さで菌糸が垂れ下がり、それ自体が生きた照明として街全体を照らす。

根の国の人々は大落下を「天の離脱」と呼ぶ。それは悲劇ではなく、天の一部が過ちを犯して空へ逃げた日という解釈だ。地に残った者こそが正統な大地の後継者であるという自負が、根の国連合の政治的アイデンティティの核をなしている。

天蓋諸島との交易は経済的に不可欠だが、感情的に複雑だ。エーテル石を入手するために空の者に頭を下げることへの抵抗感と、現実の必要性の間で根の国連合は常に揺れている。菌糸ネットワークを通じて感情が共有される社会では、個人の憤りが瞬く間に集合感情へと変容するため、反天蓋感情が突然政治的爆発力を持つことがある。これを天蓋議会は深刻な外交リスクとして警戒している。

菌糸ネットワークを通じた感情共有は、根の国の文化に独特の連帯感をもたらしている。だが同時に、一人の人間が強烈な感情を発した瞬間、その感情が都市全体に伝播する危うさも持つ。根の国連合の長老たちが感情の管理と表現に厳しい訓練を課す理由がここにある。

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