深層からの声
視点: 地眠 ツチ
ツチが菌糸を通じて千年前の大落下の記憶を受信する。過去と現在が交錯する幻視体験。
菌糸に触れると、いつもは温かい。大地の記憶は体温のような安心感で私を包む。
でも今日は違った。冷たい。氷のような冷たさではなく、もっと根源的な——存在の温度が下がるような感覚。
視界が白く染まる。いや、白ではない。落下する光だ。空から岩が降ってくる。巨大な島が、煙を引きながら、大地に向かって落ちてくる。
「——協力せねばならぬ。天と地は一つであった。再び一つにならねば、共に滅ぶ」
声が聴こえた。千年前の誰かの声。菌糸に刻まれた残響。感情の波形が、恐怖と決意の混合物として、私の神経を駆け抜ける。
千年前、彼らは協力した。天蓋の民と根の民が手を取り合い、大落下を——完全には防げなかったが、被害を最小限に抑えた。その方法の詳細は残響の中に断片的にしか残っていない。
だが一つ確かなことがある。エーテル石と大地の記憶。浮力と引力。二つの力を同時に制御した者たちがいた。
目を開けると、深淵都の天井から落ちる水滴が、上向きに昇っていた。逆さ雨。予兆の第二段階。
時間がない。